胃の移植手術がないのはなぜ?

胃腸 心臓移植や腎臓移植、肝移植などが行われているのに、どうして胃の移植手術はないのでしょうか。
心臓や腎臓や肝臓は機能が低下すると命に直結します。心臓の場合は人工心臓、腎臓の場合は人工透析をしなければなりません。

しかし、人工心臓は持ち運びができないため入院しなければなりません。
人工透析は週に3回ほど病院へ行って、1回4時間ほどかかります。そのため患者さんの生活の質(QOL)は大きく低下します。
これらの臓器に対して胃は食べ物を蓄えて消化する臓器なので、全摘出しても生命には影響しません。
胃は約1.5リットルの袋状の臓器です。主な役割は、食べ物と胃液を混ぜて撹拌し、ドロドロの粥状にして小腸での消化や吸収の準備をしています。本格的な消化や吸収は、小腸で行われています。

そのため、胃がなくても生命に直結するような支障はありません。
小腸の負担は増えますが、命に直結するような重要な役割を担っている臓器ではありません。
したがって、胃を全摘してもその代わりに胃を移植する必要はありません。では、胃を全摘することは何のデメリットもないのでしょうか。
多少のデメリットや胃を全摘した後の後遺症や合併症は、多少はあります。
胃切除後はダンピング症候群や貧血、感染症などのリスクや術後合併症のリスクが出てきます。

ダンピング症候群は、胃がなくなったことで食べ物が急速に腸に送り込まれるために、様々な症状が起こります。
術後1~2週間後にある程度の量が食べられるようになった頃に発症することが多く、徐々に軽減して行きます。
食後30分以内に冷や汗や嘔吐、脈拍の増加、腹痛などが起きたり、食後2~3時間経った頃に脱力感やめまい、動悸、冷や汗、指の震えなどが起こります。

少しずつ何度にも分けて食べることや、糖質を控えることや、薬物治療で症状は軽減して、日常生活に支障が及ぶことはほとんどありません。
また噴門温存胃切除術や空腸間置術などの術式を選ぶことでも、発症頻度を低下させることが出来ます。
また感染症などの術後の合併症のリスクは、胃の切除手術に限らず手術を受ける際には付いて回ります。
しかし対処法はあるので、これらのリスクよりもメリットの方が多い場合は胃の部分切除や全摘出を行うことが検討されます。
胃を切除したと言う人や全摘出したと言う人は沢山います。しかし食事の回数を増やして少しずつ食べるなどの工夫をすれば、他の人たちと同様に食事ができて元気に生活することができています。
胃の移植手術が行われていないのは、このように必要性に乏しいからです。

移植手術の費用は高くない!実質負担は軽い!

胃の移植手術を行うことはありませんが、腎臓移植や肝移植は行われています。
移植と聞くと膨大なお金が必要なのではないかと思う人も多いようですが、実際には高額医療制度が適応されたり、生命保険会社からの給付金が出たりします。
また、自立支援医療制度が使えるケースもあります。

高額医療費制度は1か月の医療費が一定額を超えると、超えた分が戻ってくるというものです。
所得によって異なりますが、年収が370万円~770万円程度の平均的な所得の人の場合は、1か月の負担額が9万円弱になります。
入院する際に「限度額適応認定証」を事前に医療機関の窓口に提示すれば、限度額までの負担額で済みます。公的医療保険の窓口で申請すれば10日前後で郵送されるでしょう。
自立支援医療制度は市区町村の障害福祉課や保健センターなどで相談すると良いでしょう。
この制度は、精神疾患の治療のために通院による精神医療を継続して受ける必要がある人に対する軽減措置です。

自己負担額が3割負担から1割負担に軽減されたり、所得に応じて限度額が適応されて、中間所得者の場合、1か月の限度額は2万円ほどで済みます。
病気によるストレスなどからうつ病などを発症した場合にも適応されるケースがあるので、相談してみると良いでしょう。

大きな病院には医療福祉課やがん支援センターが設けられていたり、医療ソーシャルワーカーというスタッフがいます。
これらの部署やスタッフは、患者さんが抱える経済的な問題や様々な相談を受けて一緒に解決していく仕事を担っています。
全国に約400か所あるがん診療連携拠点病院のがん支援センターは、通院中の患者さんだけではなく地域の人たちの相談にも応じています。多くは予約制になりますが、相談料は無料です。
このような専門職のスタッフは、私たちが知らない色々な制度を熟知しているので、これらのスタッフに相談して、使える制度は使うことが賢明です。
お金がないからと治療を諦めるのは、まだまだ早すぎます。まずは相談してみましょう。